牧場ウォークラリーが終わってから一週間とちょっとが過ぎた土曜日。埼玉県のとある場所で、オンラインゲーム好きが集まるオフ会が開かれていた。ミカが声をかけたおかげで、十三人が集まることになった。
実際に顔を見たことのある人もいるが、スカイプ上でしかつながりのない人たちもいる。ミカはドキドキしながら、お店の中に入っていった。
(確か……このファミレスの一番奥の席を予約したんだよね)
ウェイトレスに案内されると、そこにはすでに何人かが来ていた。数えてみると十二人いるので、ミカの到着は最後から二番目になる。
知らない顔ばかりだが、みんなオンラインゲームについて楽しそうに話していた。あの有名な『キリト』や『アスナ』のこと、各フロアのことなど。
後から来たミカは、どうやって中に入ればいいのかと考えた結果、
「こんにちわー。ALOではサラマンダーのミカをしている安心院ミカです!」
と、大声で自己紹介をした。すると、一番奥に座っていた男女が笑う。ミカは現実世界でパーティーを組んだユカとユウに会ったことはない。だけど、笑っているロングヘアでサラサラ髪の綺麗な顔をした女の子と、大人びてはいるもののまだ幼さも残っているショートヘアの男の子を見てあの二人だと確信した。
「もう、笑わないでよ! ユカ! ユウ!」
ミカは頬っぺたを膨らませながら、後ろでくくっているポニーテイルを揺らして二人の元へと行く。
「こんにちは、ミカ。私たちだってよくわかりましたね」
ユウが優しい笑みを浮かべて微笑む。
「わかるわよ~。他の人はポカーンとしているのに、笑ったのは二人だけだったもん」
「笑うなって方が無理だろ。オフ会でいきなり本名を名乗るやつとか。オフ会によっては、最後まで本名は言ったりしないよ」
「え……そういうもん?」
ミカはユカの顔を見る。
「そうですね。でも、ミカらしくて私はいいと思いましたよ」
「……それって褒めてないよね。あぁ~失敗した~」
ミカはそう言ってうなだれる。どうやらミカはオフ会初心者だったようだ。ここは私が仕切ると言ってセッティングまでしたにもかかわらず。
(相変わらず、大した度胸だよな)
ユウはそう思いながら、ウェイトレスを呼ぶためのボタンを押した。
それから三十分がたった頃、スラッとしたタイプのショートカットの女性が現れた。その人物に気付くと、ユカは顔を上げて手を振る。
「ユキ! こっちですよ」
ユカにそう言われて、ほっとした表情を見せたユキは三人のテーブルにやってくる。
「遅くなってすまない」
「また部活でしょ、仕方ないですよ」
ユカはユキと知り合いなのか、親しげに話をしている。その声にどことなく聞き覚えがあるものの、その人が誰なのかがわからないミカとユウは顔を合わせて首をかしげた。
「あ、ごめんなさい。紹介します。私の幼馴染のユキです」
「……この前の牧場ウォークラリーは見事だった。ALOではウンディーネのスノークリスティをしている」
「「えぇぇぇっ!?」」
ミカとユウは驚いて立ち上がってしまう。
「スノークリスティと知り合いだったの!?」
「うふふ。子どものころからの知り合いです。黙っていてすみません」
ユカは全く悪びれもせずにそう言う。
「現実世界でも知り合いだったなんて……しかもこんな……」
少し落ち着きを取り戻したユウが、ユキを見てぼぉっとした表情をする。
「あ、そっか。ユウはスノークリスティにあこが……」
「わーーーっ!!!!!!」
ユウは慌ててミカの口を自分の手でふさぐ。そして顔を近づけ……
「な・に・を・言うつもりだよ。ミカ姉?」
「あれ? これって秘密なの?」
全く理解していないミカはアハハと笑った。
「ミカ姉~~~!!!!!」
そう言いあい、二人はケンカを始めてしまう。
「ふふ。賑やかでいいな、ユカのパーティーは」
「ソロプレイヤーのユキにとっては、まぶしいかもしれませんね」
「あぁ、そうだな」
ユキはミカとユウの喧嘩を見ながら、にこやかな表情をする。
「では、私たちと一緒にパーティーを組んでみませんか? スキルの熟練度の差はありますけど、楽しいと思いますよ」
「パーティーか……それもいいかもな」
「「えっ!?」」
ケンカをしていた二人は驚いて固まり、ユキを見た。
「今、なんて……?」
ミカが恐る恐る聞く。
「しばらく私も君たちのパーティーに入れさせてもらうよ。よろしくね」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
ミカとユウは今日一番の驚きの声を上げたのだった。
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執筆:如月わだい
企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki
ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一
挿絵:柊正一
原作:ソードアート・オンライン
第十一話「エピローグ」の連載予定は五月十日頃になります。お楽しみに!

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