2016年4月27日水曜日

SCWOG × SAO 第九話「牧場ウォークラリー閉会式」

 無事に全てのスタンプを集めたミカたちは央都アルンに戻ってきていた。閉会式が行われるとの情報を得て、会場に向かうとそこには疲弊しているパーティーたちが集まっていた。
「何か……皆さん疲れているようですね」
「このクエスト、初心者用っていう割には結構厳しめだったもんな。ボクたちは何とかクリアできたけどさ」
「まぁ、強い敵はいたよね」
「誰かのせいで、戦わなくていい相手とも戦ったけどね」
「う……」
 ユウが覆面アレフのことを思い出してツッコミを入れる。
「あ、あれは……でも、誰でも勘違いしない?」
「勘違いも何もミカ姉は、相手を見るなり突っ込んでいってたし」
「ううぅ……」
 さらにユウが鋭いツッコミを入れる。ミカは見えない攻撃を受けているようだった。
「まぁまぁ。三人で無事に戻ってこれたんですし、それでいいじゃないですか」
「ユカぁ~」
 ミカはユカに抱き付く。
「ユカはミカ姉に甘すぎるんだよ」
「あら。ですが、ミカを特別扱いしているのは、ユウもですよね? 私のことはユカ姉って呼んでくれませんし」
「っ!! そ、そんなの知らない」
 ユウはプイッと二人に背中を向けた。
「え? それって……?」
 と、ミカが話をしている途中で、会場がざわめきだす。スノークリスティが姿を現したのだ。
「みなさん。お疲れ様です。途中で敗れた者。途中でクエストが終わった者。そして……最後までクリアできた者。三者三様だと思います」
 その言葉にざわめきは一層大きくなる。
「そして、今回の牧場ウォークラリーをクリアしたパーティーは一組のみ!」
「「「!?」」」
 会場に集まっているパーティーたちは周りを見渡す。誰が最後までクリアしたのかと探り合っているようだ。
 そして、ミカたちもその言葉に驚く。
「クリアしたのは……」
「私たちだけ!?」
「……みたいですね」
 確かに初心者用にしては難しいクエストだったように感じたが、まさか一位になるだけではなく、クリアしたものが自分たちだけとは、三人の誰もが考えてもいなかった。
「それでは授賞式を始めます」
 周りのざわめきを気にせずに、スノークリスティは進行させる。
「一位でクリアをした、ミカ、ユカ、ユウの三人のパーティー! 前へ出てきなさい」
 そう言われて三人は視線を合わせて頷きあう。ミカを先頭にして三人は表彰台の前へと向かった。クリアをした人物が誰かに気づいた他のパーティーは、ざわざわと彼女たちのことを口にする。だがそれが妬みの言葉なのか、称賛の言葉なのかわからなかった。三人は緊張をし、ただ前に出ていくだけで精いっぱいだったからだ。
 三人が表彰台に登ると、スノークリスティはニッコリと微笑む。
「おめでとう」
「あの……本当に私たちだけなんですか……?」
「えぇそうだ。君たちよりも早く私のところまでたどり着いたものは何組かいたが、私に傷一つ与えることはできなかったからね」
 と、こっそりと戦った時の口調で教えてくれる。どうやらこっちの口調の方が、彼女の素の言葉らしい。
「クエストの報酬です。それぞれにあったレアアイテムを私が選んでおきました。今後の冒険に必ず役立ってくれるでしょう」
 そう言ってスノークリスティは、一人一人にレアアイテムを渡していく。アイテムを渡し終えると、大きく両手を広げ、
「クエスト攻略者に盛大な拍手を!」
 スノークリスティがそう叫ぶと、盛大な拍手が巻き起こった。三人は恥ずかしくなり、お互いを見て「困ったね」と言いあいながら笑ったのだった。


 閉会式も終わり、三人はようやく自分たちが優勝したことを実感し始めていた。
「なんかすごいよね、私たち。でも……」
 ミカはそう言うと立ち止まって、俯いてしまう。
「最強の人間を目指していたのに、それをやめたらこんな称号を得るなんて皮肉だよね……」
「何言ってんだよ。ちょっと形が変わっただけだろ」
「え?」
「そうですよ。ミカではなく、ミカたちがと言うだけの差です。これからも三人でパーティーを組んで冒険していきましょう。初めは冒険が怖かったですが、私はこのパーティーが大好きです」
 ユカはそう言うと、ミカの左手を握る。
「ボクもまぁ、また一緒に組んであげてもいいよ。せっかく連携魔法も手に入れたんだし。これで終わりは……イヤかな」
 ユウはそう言うと、ミカの右手を握る。
「ユカ……ユウ……。そっか、そうだね。ありがとう二人とも、三人で力を合していこうね!!」
 ミカは二人の手を握り返して、空へと手を上げた。
「さーて、じゃあ今日はそろそろログアウトしようか」
「そうですね」
「あぁ、また……」
 と、ユウが言いかけて前に人がいることに気付く。
「お疲れさま。話があるんだが……」
 現れた人物はそう言って、ニッコリと微笑んだ。

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執筆:如月わだい
企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki
ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一
原作:ソードアート・オンライン

第十話「オンラインゲーム好きの集まるランチ会」の連載予定は五月三日頃になります。お楽しみに!

2016年4月19日火曜日

SCWOG × SAO 第八話「第五のチェックポイント」

 第五のチェックポイント、地下世界『ヨツイヘルム』。ここは要塞としても知られており、初心者はあまり来ることのない場所だった。
 積層構造になっており、地下に潜るほどにエンカウントするモンスターも強力になっていく。中級プレイヤーでもモンスターに当たれば、死ぬか生きるかギリギリのところだろう。
 そんな中を、チームワークを手に入れた三人が歩いていく。先頭を歩くミカ。ミカの腕に腕を絡めて歩くユカ。その後ろから、ユウがついて歩く。美しかった世界とは打って変わって、おどろおどろしいこの空気感は、ユカが最も苦手とするものだった。リアル世界でも、ホラー系は苦手分野。昔はよく怖くなると、お姉ちゃんに抱き付いていたなと、ふとユカは思い出した。
 『お姉ちゃん』は血のつながりのあるお姉ちゃんではない。近所に住む幼馴染で、実際には歳は一歳しか離れていないが、子どものころからしっかりとしていて、とても頼りになる人だった。もちろん今でも会ってはいるが、歳をとる度に会う回数は減っていた。
(お互いに忙しくなったから仕方がないんですよね。でも、寂しいというのも本当の気持ち……)
 ユカはそんなことを思いながら、ミカの腕を抱きしめる力を強めた。



 モンスターが現れたら即終わりだと思っていたが、一度もモンスターに出くわすことなく最下層にたどり着くことができた。だが、目の前で繰り広げられている状況を見て、ミカたちは絶句する。
「うあぁぁぁぁ!!!!!!」
 バッシューーーーーン
 重層鎧を着こんだサラマンダーが、壁際に吹き飛ばされ、その姿を消した。……攻撃を避けきれずに、HPがゼロになったためだ。
 攻撃を仕掛けたのは、ミカたちから少し離れたところに立っている人物。剣を振り下ろし入り口付近に立っているミカたちを見る。
「次はお前らか……」
 そこに立っていたのは、開会式の時に姿を現したスノークリスティ―だった。彼女は開会式の時の口調とは違い、少し威圧的な物言いをする。
「スノークリスティ……どうして?」
 ミカは思わずその名前を呟く。スノークリスティは、ミカを見てフッと笑う。
「すごいな。私の覇気を浴びて言葉を出せるなんて」
「え……?」
 そう言われてユカとユウを見ると、二人は首を振っている。どうやら声を出せないようだった。
「まぁ、いい。これから最終チェックポイントの説明をする。このウォークラリーに何人で参加していたとしても、ここでは三人がマックスの状態で私と戦うこと。……つまりPvPで私に勝てば、見事クリアというわけだ」
「なっ!?」
 ミカは驚く。今までのようにすぐに『やってやるぜ!』とは気軽に言えなかった。いつかスノークリスティを越えたいという願望はあるものの、今の自分では力量に差がありすぎることを知っているからだ。
(そう……自分一人の力量では)
 ミカは両隣にいる、ユカとユウの背中をバシンと叩く。
「きゃっ」
「うわっ」
 驚いた二人は思わず声を出してしまう。
「なーにぼさっとしてんのよ。やるわよ! 三人で力を合わせれば、たとえ相手がスノークリスティでも勝てるわ!」
「!」
「!」
 ミカの言葉に、ユカとユウは顔を見合わせて笑顔を作った。そして、三人はフォーメーションを作る。前衛は右にミカ、左にユウ。そして後ろにユカ。
「……こいっ」
 スノークリスティも剣を構える。と同時に、ミカとユウは走り出す。
「行きますよ! 先ほどアルフさんから頂いた連携魔法!!」
 ユカは後方で長ったらしい呪文を唱えて、目の前の三人が剣を交える前に魔法を発動させた。
 ピカ――ッ
 次の瞬間、ミカとユウの身体が光に包まれ全パラメーターが上昇する。身体が急激に軽く熱くなる。
「サンキュー! ユカ! ……ユウ」
「わかってるよ、まずは……」

 ガキーーーン

 スノークリスティの剣をミカとユウの剣が受け止める。三つの剣が合わさり、剣が刃こぼれを起こす。
「ほぅ……私の剣を受け止めるとは」
 スノークリスティが感心したような声を出す。だがまだまだ余裕があるようだった。
「でも、これはどうかな?」
 スノークリスティは剣に力を入れたまま、片足でユウの腹をける。
「ぐっ!?」
 ユウが吹き飛ばされ、一人になったミカもスノークリスティの剣を受け止められずに吹き飛ばされた。
「ユウ! ミカ!」
 ユカは慌てて回復魔法のスペルを口にする。だが、スノークリスティは吹き飛ばした二人を追わずに、ユカの方に走ってくる。
「……っ!」
 まさか自分が狙われると思っていなかったユカは蒼白になってしまう。
「さ、させるかぁぁぁぁ!!!」
 吹き飛ばされながらも、ミカは呪文を唱えて炎の魔法を発動させる。
「何!?」
 スノークリスティは振り返り、襲ってくる炎をひらりと避けた。そして、ユカを狙うのをやめてミカにとどめを刺そうと、ミカに攻撃をするために走り出す。最初の一撃だけで黄色のゲージにまでなっていたミカは、次の攻撃を受けるとひん死状態か、HPがゼロになってしまうだろう。
「!! 強いっ! でも!」
 ミカはあきらめずに、地面にしっかりと足をつけてスノークリスティを迎え撃つ準備をする。
「一人で何ができる!?」
 スノークリスティは剣をミカに振りかざす―――
「ミカ姉は一人じゃないっ!!!」
 と、そこでミカとは反対側に吹き飛ばされていたユウが、パラメーター補強された速さでスノークリスティに攻撃を仕掛ける。その攻撃は軽々とよけられてしまうが、スノークリスティに一瞬のスキができた。
「いまだ! ミカ姉」
「!!!」
 ミカはアルフにもらったもう一つの連携魔法を発動させる。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
「しまっ……!!」
 ドッゴォォォォン
 恐ろしいほどの爆発が起き視界がゼロになる。
 少し離れたところにいるユカからは、戦況がどうなったのかがわからない。
「ミカ! ユウ!?」
 ユカは自分の弱さも忘れて、二人の元へと駆けつける。やがて煙はなくなり、そこには肩で息をしているミカとユウの姿があった。
「……よかった!」
 ユカは戦闘中だというのに、二人に飛びつく。
「わっ、ユカ。待って、まだスノークリスティが……って、あれ?」
 ミカは抱き付かれながらも、彼女の姿を探す。だが、先程までいた場所にスノークリスティはいない。
「ミカ姉! あそこ!」
 ユウに言われて、頭上を見上げると、飛翔しているスノークリスティの姿があった。HPは四分の一ほど減っているが、緑のゲージのままだった。
「くっ!」
 三人はすぐに離れて、戦闘態勢をとる。だが……。
 パチパチパチ
 スノークリスティは手を叩いていた。
「合格だ。三人とも」
「「「え?」」」
 手を叩いているスノークリスティには戦闘意志は全く見えない。笑顔で手を叩きながら、三人の前にスタンプを差し出した。三人は、まだ状況が呑み込めていない様子で、ただスノークリスティを見つめるばかり。
「何だ? 受け取らないのかスタンプ」
「え、あ、はい」
 ミカは何とか差し出されたスタンプを受け取る。
「ここでのPvPは本気の戦いじゃないよ。だって私と君たちとではスキルの差がありすぎるだろ? だから、私に一撃を与えることができれば、それで合格だったんだ。……まぁ、最後の連携魔法はちょっと驚いたけどね」
 そう言われても、やはりまだ現実味がない。ぽかんとした三人にスノークリスティはさらにこう言う。
「いい仲間を見つけられたな」
 と、ユカにウインクをしたのだ。
「「??」」
 ミカとユウはさらに首をかしげるが、ユカは、
「はい!」
 と、笑顔で答えた。

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執筆:如月わだい
企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki
ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一
挿絵:柊正一
原作:ソードアート・オンライン

第九話「牧場ウォークラリー閉会式」の連載予定は四月二十六日頃になります。お楽しみに!

2016年4月17日日曜日

ゲーム仲間の作り方

自分のこだわりがあって作成したグループを運営していると、人が集まって参加してくれている時は良い気分だが、そうでない時に寂しく孤独になることがある。自らソロプレイを望んでいる人ならともかく、皆でワイワイ遊んだり個別に親しくなって関わったりしたい人には不満が募るだろう。

最近思ったのは、人が集まらないっていうのは
人が集まらないって言ってる貴方が作成したグループでの話でしょ、ってこと。
特定のゲームに絞って探せば、一緒に遊ぶ仲間はすぐに見つかる。
○月○○日しかインしないから…… とか
月一回しかインしないから…… とか
あのゲームと、このゲームと、そっちのゲームをやってるから別に…… とか
言ってる場合じゃない。

最初から通話したい、自己紹介メッセージ交換したらすぐ通話したい、なんていう人
ほんの一握りだと思いますよ。通話して楽しめる人を探すのもいいですが
「人が集まらない」「寂しい」と不満を募らせている場合は 行動を変えてみるのも一つの手です。

また、ネット上では若い女性ユーザーなら誰でもチヤホヤされ、コミュ力などが人並み以下の
男性ユーザーの投稿がスルーされる傾向があります。悔しい!と感じる男もいるのでは
ないでしょうか。でも、リアルで面識のない男性に対して女性は厳しいです。
「会いたい」と思ってコンタクトを取ったネット上の女性なんて、殆ど会えません。会えるのは
偶然気が合って、タイミングが合った人同士だと思います。ネット上で出会いを求めるのは
凡人の男には効率が悪すぎます。リアルでやれ、と。
異業種交流会、ランチ会、バーベキュー会、カラオケ会、Facebookイベント、お茶会、
恋活婚活パーティー、結婚相談所 etc...
この中で一番効率が良いのは女性側も出会いを真剣に求めてる結婚相談所ですね。
それに入会するくらい気合があれば、それ以下の交流会に参加するのなんて楽勝です。

わっ、私は○○○のゲーム仲間を求めているんだ!妙齢の女性しか受け付けない(同性には素っ気ない対応)なんてことはないぞ! というなら、ネット上で性別を気にすることないよね。

閑話休題。

毎回通話しながらゲーム遊べる人に限って仲間を探そうとすると、なかなか自分に合った人が見つからないものです。入り口は広くとって、ゲーム内テキストチャットを見直してみましょうか。テキストチャットなら良いよ、って人は無数にいますよね。
それに自分が開設したホームページ上で仲間を求めるなんて、これもまた非効率じゃないのかな、と思った次第で……。

逆に、人が集まっていて仲間が作れる所ってどこなのか。それは……

・公式サイト掲示板(友達/仲間募集トピック等)
・公式サイトからリンクされているファンサイト/ギルドサイト
・ゲーム内メッセージボード/掲示板
・人数が多くてイン率の高いギルド(イン率低い人は遠慮しがちだが、逆に考えてインしない期間は脱退しておけば良いし、月に数日だけガッツリ遊びたい人は日替わりでギルドを転々とするのもまた一つの手)
・mixi コミュニティ(特定のゲームタイトル専用)
・twitter(ゲームタイトル、ハッシュタグなどで検索)
・スカイプ友達募集サイト(特定のゲームタイトルで検索)

「人が集まらない」「寂しい」と不満を募らせている場合、新たに通話しながら一緒にゲームできる仲間を探すのは一先ず置いといて、これまでに出会った友達や仲間に連絡を取って親睦を深めたり、自分のこだわりを見直してみたりすると良いかもしれませんね。

まとめ。
1.妙齢の女性と出会いたいならネット上ではなく、リアルで恋活婚活しましょう。
2.特定のゲーム仲間がほしいなら、既に人が集まっている掲示板やコミュニティを利用しましょう。
3.入り口は広くとってゲーム内テキストチャットから仲間を作り、楽しみましょう。

2016年4月12日火曜日

SCWOG × SAO 第七話「第四のチェックポイント」

何となく気まずい空気をまとった三人は、第四のスタンプを求めて世界樹へと向かっていた。
VRMMO時代のALOでは、世界樹を攻略することが最終目的とされていたが、このパソコン版のALOでは、世界樹を攻略することが目的とはされていない。パソコン版のALOはVRMMOのGGOの後に作られた製品。世界樹には一階から頂上に向かってのエレベーターが実装されており、誰でも簡単に行き来することができる。
 最上階にはアルフが住まう空中都市イグドラル・シティが存在している。アルフ……つまり、ユカが属している種族が本拠地にしている場所だ。今回はこの空中都市イグドラル・シティで武器をそろえてから、世界樹のたもとに向かうようにチェックシートには書かれていた。

 三人は世界樹のたもとにたどり着く。だがまだ武器をそろえていないため、何も起きない。このクエストは、武器を購入した後に何かに反応して出現するようになっているようだった。
「とりあえず、空中都市に行こう。二人はちゃんとマニーを持ってるの? っていうか、ユカはアルフだから空中都市のことは知ってるんだよね?」
 初めに比べるとちょっとだけ声のトーンが落ちたミカは、それでもリーダーらしく仕切ろうとした。
「はい、知ってますよ。とーっても綺麗な場所です。下界を一望できるところがあって、そこからの眺めは最高ですよ!」
「あ、でも今回はクエストが……」
 ミカが言おうとして、口を紡ぐ。不機嫌そうなユウの姿が視えたからだ。
(一番になるには寄り道なんてしている場合じゃない。けど……、本当にそうなのかな?)
 と、そんなことを思った自分自身に、ミカは驚く。
「……はぁ、わかってるよ。別にボクはミカ姉に無理をしてほしくないだけで、ミカ姉の行動すべてがダメだとは思ってないから。今日はクエストを優先して、終わってから三人で見学に行こうよ」
「ユウ……!!」
 ミカはこみあげてくる感情のまま、ユウに抱き付く。
「わっ!? ちょっとミカ姉!?」
 ユウは力強くミカに抱きしめられ、ミカの甘い香りがこっちにまで届いてきそうだと思った。
「うふふ。仲がいいですね、お二人は」
「あぁもう! ユカにも抱きついちゃう!!」
「きゃぁあ!」
 ミカは左手でユウを抱きしめ、右手でユカを抱きしめた。三人はこれ以上ないほどに引っ付き、まるで三人で一人の人間のような感覚になる。
(ってボク、男なんだけど。何なんだよこの状況!?)
 ユウの心の叫びを無視して、しばらく抱き合ってから三人はエレベーターに乗って空中都市イグドラル・シティに向かった。


 エレベーターで頂上にたどり着くと、そこは下界とは全く違う美しい街が広がっていた。花や蝶が飛び交っており、エデンのような場所だとミカとユウは感じた。
「ね、素敵なところでしょ」
 ここに来たことのあるユカが、二人を武器防具屋に案内すると言って先導してくれる。戦いでは補助的な役割の彼女だが、今回のクエストの中で一番役立ってるのは、実はユカなんじゃないかと、ユウは思い始めていた。


「ここがこの街で一番大きなお店ですよ」
 ユカに案内された店は、外装もさることながら内装もとても丁寧に作られていた。
「すっごーい! こんな剣、見たことないよ!!」
 早速武器に夢中になっているミカは大声を上げて、どれを買うかの品定めを始めた。
「ねぇ、ユカ。ここが街で一番大きなお店って言ったけど、他にもお店はあるの?」
 店の雰囲気を確認しながら、小声で聞いてくる。一応この店の主人に気を遣っているのだろう。
「あ、はい。ありますよ。NPCじゃなくて、他プレイヤーが店を開いたりもしていますから。ですが……今回は初心者用のクエストなので、武器を買うとしたらここかなと思いまして」
「なるほどね。さすがユカ。じゃあボクも早速買ってこようかな」
 ユカの説明で納得したユウは、少しだけ重い剣が置いている場所を見に行った。
(ユウって不思議な人。子どもっぽいところがあるように見るのに、ちゃんと周りも見ていますし、人も見ていて……。今の中学生って、しっかりしているんですね)
 ユカはユウの後姿を見て微笑む。
(戦闘力の低い私だけど、この二人のためだったら支えになりたいって思える。二人に負けないように、私も頑張んなきゃ)
 そう決心し、ユカもメイスを選びに向かったのだった。

「まいど~!」
 上機嫌のNPCは大きな声でそう叫ぶ。そうプログラムされているからだとは思うが、こんなにたくさんの武器と防具を買ってくれたから嬉しそうにしているようにしか見えなかった。
「そうそう、三人はクエスト参加者だよな。この証明書を持って行ってくれ」
 店主はそう言うと、IDパスのようなカードをそれぞれに渡した。ここの店主はいつもこんなおまけをつけるのかと、ユカを見ると首を振った。
「ここで買い物をして、こんなことを言われたのは初めてです」
「ってことは、ここで買い物をしたのが正解ってことだね! よっしゃー! じゃあ、早速世界樹のたもとに戻ろう! 何が起こるのかはわかんないけど、こんなめっちゃ強い武器と防具をつけた私たちには怖いものなしだよ!」
 いつもの調子を取り戻したミカは、大はしゃぎでそう言う。その姿を見て、ユウはため息をついたのだ。


 エレベーターで世界樹を降り、指定されていた場所に行くと、登る前にはいなかった覆面のアルフが一人立っていた。
「覆面!?」
「……嫌な予感がしますね」
 及び腰になったユウとユカだが、ミカは全く気にせず一人突っ込んでいく。
「うぉぉぉぉっ!!!!!」
「あ、おい!?」
 相手が敵なのかどうかもわからないうちから、覆面アルフを敵とみなしたミカは切りかかりに行く。だが覆面アルフはミカに気がつくと、その攻撃を軽々とかわした。
「なっ!?」
 空振りをしてしまったミカに隙が生まれ、そこに覆面アルフが攻撃を仕掛ける――
 ガッ
「きゃあっ!?」
 ミカはユウとユカがいる場所とは反対側に吹き飛ばされた。さっき購入したばかりの防具が、対アルフ用に施されたものだったため、ダメージはそれほど受けていないが、こちらの攻撃がかすりもしなかったので危機的状態には変わりない。
「あの……ばかっ!」
 ユウは剣を取り出し構える。
「ユカ、援護を頼む」
「わかりました! できればミカにも回復魔法をかけたいのですが……」
「ボクがこっちにミカ姉を連れてくるよ」
「お願いします!」
 二人がそうやって話している間にも、あきらめの悪いミカは一人で覆面アルフに向かって攻撃を仕掛ける。何度も何度も。だが、どの攻撃も当たらない。
「ちくしょー!! なんでだよ!!!」
「ミカ姉! 落ち着け! こっちに来て、一度体勢を整えよう!」
 ユウは叫びながら覆面アルフ越しにミカに訴えかける。覆面アルフはユウにも気づき攻撃を仕掛けようとするが、ユカが補助魔法をかけてくれたおかげで吹き飛ばされずにすんだ。と言っても、HPは少しだけ減少してしまったが。
「嫌だ! だって私は最強の戦士になりたいんだ! だからこんな所で、立ち止まるわけにはいかないんだよ!!!」
 ミカは悲鳴にも近い叫び声をあげる。ミカは自分の感情さえも自分で制御できていないのか、そのまま剣を振りかざす。だが、やはり剣は当たらずに空振りをし、覆面アルフの攻撃を受ける――!
「ぐっ!?」
「ミカ姉っ!」
 吹き飛ばされたミカ姉をユウは素早く移動し受け止める――が、素早さはあっても力は弱いため、受け止めきれずに一緒に飛ばされてしまう。
「ミカ! ユウ!」
 後方に控えていたユカが叫ぶ。そのせいで覆面アルフに存在がばれてしまったが、ユカに攻撃を仕掛けようとはしなかった。それでもユカは、この場所から動くと、相手の攻撃範囲内に入ってしまうかもしれないと思い、動くことができない。
(今私が前衛に出ても、何の力にもならない……!)
 ユカは自分の無力さを痛感しながらも、吹き飛ばされた二人を見る。二人のHPは黄色のゲージになってはいるものの、無事のようだった。
「くっそ! 今度こそ!!」
 ミカはユウに抱き留められたおかげで、それほどのダメージを受けなかったが、勝てないことへの焦りは募るばかりだった。ミカはムクリと起き上ると、また剣を構えて走り出そうとする。
 ガシッ
 だが、ミカの左手をユウが握り、走りだせなくなってしまった。
「離せ! ユウ! あいつを倒さなければ!!」
「……いい加減目を覚ませよ! ミカ姉! あんたの力じゃ、全く通用しないのがわからないのか!?」
「っ!? う、うるさい! そんなことは……そんなことは……っ!」
 ミカはギリギリと歯ぎしりをする。それはちゃんと自分が、敵わないことを自覚している証拠だ。
「それでも私は、私はあいつに勝つんだ。たとえこの命が尽きても!!」
「っ! 命が尽きても……」
 ユウの脳裏に、SAOで本当の命を落とした姉の姿がよぎる。
「こ、このバカミカ!!」
 バッシィィ
 ユウは思いっきりミカのほっぺを叩く。
「!?」
「命尽きてもなんて気軽に言うんじゃない! ボクの本当の姉はあのSAO事件で本当に命を落としているんだ!」
「……え」
 ミカはその言葉で、ようやく我に返る。ゲームの世界なのに、小さな男の子が目の前で泣いているように見えた。プログラムのこの世界で『泣く』というコマンドはないのに。
「で……でも。私は最強に……」
「……最強って、1人でなりたいのかよ。ボク、ミカ姉に聞いたよね。なんでこのパーティーを組もうとしたのかって。あの時は答えてくれなかったけど……パーティーってさ、力を合わせるためのもんじゃないのか」
「力を合わせる……」
 ミカの表情がピクリと動く。
「ミカ姉だって、それができないわけじゃないんだ。だって、一番初めのチェックポイントの時は、ちゃんと三人で力を合わせて戦ったじゃないか」
「……!」

 ユウはミカの手に手を当てる。
「ボクたちを信じてよ。一緒に戦おう。一緒にミカ姉が目指している最強になっていこう。ね、そのためのパーティーだろ?」
「!!!」
 ミカの瞳にだんだんと光が戻り始める。そして……ゆっくりと頷いたのだった。
 と、その時――
 ピカッ!!
 止まったままになっていた覆面アルフがまばゆい光を解き放つ。
「!? ミカ姉! とにかく、ユカの元へ行こう!」
「う、うん!」
 ミカとユウは手を繋いで、一人取り残されているユカの所に移動した。三人が同じ場所に揃うと、光は一層激しくなり周りが見えなくなる。
 バシューーーーーン
 そんな音が聞こえたかと思うと、光は消え去り先ほどまでの景色が見える。
「な、何が起きたんだ?」
「み、見てください! アレフの覆面が外れてます!」
「!?」
 ユカにそう言われて見てみると、確かに覆面は外れていた。そして、覆面の下にあった顔はと言うと、穏やかで優しい表情だった。
「パーティーの結束力を確認いたしました。これより、連携魔法の継承を行います」
「「「えぇっ!?」」」
 突然のことに、三人は同時に声を発する。だがアルフはそんな三人にお構いなしに、手を上空に上げ光の玉を作る。そしてそれを三人に向けてゆっくりとかざした。光の玉は三人の上で三つに分裂し、それぞれの身体に入っていく……。
「これは火・光・影の三つの力で構成された連携魔法。アルフ族が呪文を唱えることで発動し、一時的に全パラメーターを上げることができる」
「!」
 三人は顔を見合わせる。だが、アルフはもう一度、手を上空に挙げて茶色の光の玉を作り、手をかざすと、ミカたちの頭上に球が移動し、二つに分かれてミカとユウの身体に吸収された。
「これはおまけです。火・影の二つの連携魔法は、必殺技の発動。呪文は二人同時に叫ぶことが発動条件となります。最後まで頑張ってくださいね」
 アルフはそう言うと微笑んで、姿を消した。アルフがいたところには、スタンプが落ちている。どうやら連携魔法を受け取ることが、第四のチェックポイントの試練だったようだ。
 三人はヘナヘナとその場に座り込む。
「覆面のアルフが敵じゃなかっただなんて……」
 ミカが呟くようにそう言うと、ユウが軽くミカの腕を押した。
「ミカ姉が暴走するから、こんなことになったんだよ。ちょっとは反省してよ」
「う……」
 二人の間にあった硬い空気がなくなっていることに気づき、ユカは嬉しくなる。
「そうだ。二人に回復魔法をかけなきゃですね」
 ユカはそう言うと、呪文を唱えて二人の傷を癒した。
「サンキュー、ユカ。色々心配かけてごめんね」
「いいえ、私はずっとミカを信じていましたから」
「……ありがと」
 ミカは優しく微笑んで世界樹を見上げる。この世界ってこんなに美しかったっけと、不思議なぐらいに周りがクリアに見えた。
(仲間……か)
 その響きが何だか尊いもののような気がして、ミカは少し照れくさくなった。
「次が、最後だよね。チェックポイントはどこにあるの?」
「次は……」
 ユカがチェックシートを実体化させて確認する。
「……この下ですね」
「え? それって……」
「はい、地下世界ヨツイヘルムです――」

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執筆:如月わだい
企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki
ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一
挿絵:柊正一
原作:ソードアート・オンライン

第八話「第五チェックポイント」の連載予定は四月十九日頃になります。お楽しみに!

2016年4月11日月曜日

レクリエーション記事追加 : ネットカフェやホームパーティー等でゲーム一緒に遊ぶ会

主催者と面識のある人が特定のネットカフェや個人宅に集まり、会話しながらゲームの準備をして一緒に遊ぶイベントです。遊べるコンピュータゲームのジャンルは会場設備と参加者の持参物に依存します。主なコミュニケーション方法は、会話またはテキストチャット。

イベントによっては事前告知して開催することで、会場(非公開)にいる参加者と
特定のオンラインゲームにログインしている友達や仲間がパーティーを組んで遊んだり、チャット等でコミュニケーションを取ったりすることが可能です。
参加するのはイベント当日だけで良いため、普段パソコンをネットに繋げていない親友や、交流会などのイベント好きな友達にも参加してもらい易いと思います。

2016年4月8日金曜日

いま思ったこと

通話しながら一緒に特定のネトゲで遊ぶこと。
皆にイベント告知してますが、来てくれる人はごく僅かです。また、告知に時間がかかる割に合ってません。私がしたいのは告知じゃなくて、一緒に遊びに行って楽しむことです。
親しいリア友、同級生、会社の同僚、ネットとリアル両方で繋がりのある人、家族、親戚、ネット上で趣味の合う友達 …… リアルで親しい人に限ってネット上で繋がることができない状況にあったりしますけど、数人でもいたら良いですよね。
今までの経験によると「イベント告知」して来てくれるのは、リアルで開催される交流会ですね。
さて……
通話しながら一緒に特定のネトゲで遊ぶには、どうしたら効率的に人と繋がって楽しめるのだろうと考えています。イベント化は後回しにして、一人ひとりと個別に向き合うスタイルにしたら良いのかなと思ったりしてます。
.hack や、ファンタシースターオンライン2のアニメでは学校の同級生で誘い合って楽しんでますね。現実で元々繋がりのあった人が一緒にネトゲを遊ぶ話なんですが、とても面白いです。また、必ずしもプレイ開始から終わりまで通話してる必要はないのかな、プレイ準備の間だけ通話するのも選択肢の一つだなと思ったりもします。
どんなプレイスタイルにしたら各々が楽しめるか、良かったらこれから一緒に考えていきましょう! よろしくお願いします。

おすすめ作品情報

こんにちは。最近、プレイステーションVRの情報を追いかけてます。発売を楽しみに待っています。
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そして待ちきれず、ドットハック( .hack)アニメ観はじめました。映画「ドットハック セカイの向こうに」DVD借りて観ましたが面白かったです。ネトゲ、立体映像、音響、ヘッドマウントディスプレイに興味ある人はみておいて損はないと思う。
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その他、ファンタシースターオンライン2のアニメも良かったですよ。
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2016年4月5日火曜日

SCWOG × SAO 第六話「第三のチェックポイント」

「ふふ~ん。絶好調じゃない!? もう二つもスタンプをもらえたし」
 三つ目のチェックポイントがある世界樹をぐるりと取り巻いている環状山脈に向かって三人は飛翔している。初めは飛ぶことに抵抗のあったミカだったが、クエストをこなしていくうちに、飛翔することにも抵抗がなくなったようだ。
 ただ元気なのはミカだけで、ユカは少し飛ぶスピードが遅れ始めており、ユウはと言えば何かを思案するような表情をしていた。
「ユカ! 次の目的地は環状山脈のどこになるの?」
 だか、ミカはユカの変化に気付いていない様子で、やる気に満ちた表情で聞いてくる。ミカはまだまだ体力があり余っているようだ。
「ミカ姉。ちょっと休憩をいれない? 初めのころに比べると、他のパーティーもあんまり見かけなくなったしさ」
 体勢を整えなおした方がいいと思っているユウは提案をする。
「な~に言ってるのよ。確かに他パーティーはあんまり見かけなくなったけど、私たちの狙いは一番なんだからね!」
(そうよ、こんなところで立ち止まってなんかいられない! 私は自分が最強だとスノークリスティに認めてもらうんだから!!)
 ミカはユカを見ると、手を差し出す。
「ユカ! よかったらチェックシートを私に戻してくれる? 今なら方向音痴も克服できる気がするのよね。こうやって簡単に飛べるようにもなったし」
 そう言って、ミカは旋回して見せる。確かに未だ補助ステッキを必要としているユカに比べれば、ミカの方が余裕があるのは明白だ。
「ねっ」
「じ、じゃあ……」
 ユカはどうしたらいいのかと迷いながらも、ミカに従おうとする。
「ダメだ!」
 だが、二人の間にユウが入ってそのやり取りを止める。
「な、何よ。そんな大声出して……。別に誰が持ってもいいものでしょ?」
「ミカ姉がこれを持ったら、さっきのオークキングの時のように、ボクたちに何も言わず一人で勝手に行ってしまうだろ」
「別にいいじゃない。勝ったんだし」
「本当にいいと思ってるの? ボクたちパーティーを組んでるのに、単独行動しているミカ姉が正しいと思ってる? もし本気でそう思ってるなら、何でメンバーを集めようと思ったの? このクエストが、複数人数じゃないと参加資格がなかったから?」
 ユウは一気にミカに対して質問攻めをする。
「な、何よ……。そんな一気に言わなくても……私はただ……」
 ミカはどう答えたらいいのかがわからず口ごもってしまう。
「あ、あの! 二人とも地図は私が責任をもって最後まで持ちますから! だから落ち着いてください!」
「でもっ……」
「……ユウ。私はミカを信じていますから」
「ユカ……」
 助け舟を出してくれたユカにほっとしながらも、もやもやしたものが心の中に残っている気がするミカだった。
(何で、こんなに胸が苦しいんだろう? 私何も間違ったことなんて言っていないはずなのに……)
 まだ納得していないミカは、ユウの横顔をチラッと見る。
「それで第三チェックポイントなんですが、どうやら環状山脈の『東の虹の谷』『西の蝶の谷』『南の竜の谷』の三か所からエーデルワイスを摘んでくると、それがスタンプになるみたいですね」
「エーデルワイス? 歌とかで出てくる花だよね」
 ユウはあまり花には詳しくないのか首をかしげる。
「私もあんまり花は得意じゃないかも……」
「大丈夫ですよ。植物なら私が得意ですから。今回は私が活躍できそうですね」
 そう言ってユカはユウに向かってウインクをした。
「っ!?」
 ユウはユカに気を遣われていることに気付き、何となく気恥ずかしくなった。
「じゃあ行きましょう。ここから近いのは東の虹の谷のようですよ」
 疲れが見えていたはずのユカは、元気いっぱいにそう言う。
「うん! 行こう!!」
 ミカは自分の心の中にあるもやもやしたものを吹き飛ばすかのように、大きな声を出して気合を入れた。そうしないと、すぐに何か黒いものに自分が捕まってしまいそうだったから。それは見ないようにするのが一番いいと、ミカは考えることをやめた。
「ね、ユウ」
「ユカが……大丈夫なら」
「もちろん大丈夫です」
 そう言ってほほ笑むユカの表情を見て、ユウはため息をついて「わかった」と答えた。そして三人は東の虹の谷に向かったのだった。

「あ、あれがエーデルワイスですよ。あの白い花」
 崖の先に咲いているエーデルワイスを指さして、ユカが叫ぶ。東の虹の谷は歩きづらい場所ではあったが、エーデルワイスが咲いていた場所は崖になっており、とても見晴らしがよかった。
……つまり、採取するのを一歩間違えれば落下してしまうということ。といっても、ALOの世界では飛翔することができるので、特に危険はないともいえる。
「よーし! じゃあ私が採ってくるね!」
 ミカはそう宣言すると、一人で崖の端にまで平然とした態度で取りに行く。いくら背中に羽があるといっても、現実世界では羽のない人間。多少の恐怖を感じてもよさそうだが、そういう繊細なものは全く持ち合わせていないようだった。
「気を付けてくださいね~」
「……」
 ユウはミカの後姿を見てから、背を向けて森の方に意識を集中させる。みんなが崖に集中している間に後ろからモンスターが現れたらシャレにならないと思ったからだ。
(どんな時でも注意を払ってないと、何が起こるかなんてわかんないし)
「やったー!! 採れたよ! エーデルワイスGet!! って、きゃっ!?」
 エーデルワイスを取ったと同時に、ミカがしゃがんでいた崖の端が崩れ、崖ごとミカは落ちてしまいそうになる。
「ミカっ!!」
 そして、ミカをずっと見ていたユカが驚いて助けに行こうとすると、ユカが立ち上がった場所も同じように地面が崩れた――。
「お、おいっ!?」
 後ろの異変に気付いたユウが振り返ると、二人が崖から落ちそうになっていた。ユウは瞬時にミカは自分で飛べるが、ユカは補助ステッキがないと飛べないことを思い出し、ユカを助ける決断をした。
「ユカっ!!」
 ユウは羽を動かして、崖から落ちたユカを追いかける。
「っ!!!!!!」
 ユカは恐怖のあまりに声も出せずに真っ青になって、地面に向かって落ちている。
「ユカっ! 目を開けて! ボクの手につかまって!!」
 落下しているユカはユウの叫び声に気付いて目を開ける。すると、上から羽を広げたユウが自分のもとへと来ていることに気付いた。
「ユウっ」
 ユカは飛んでいるユウを見て自分も飛べばいいんだと気づいたが、この落下スピードの中で補助ステッキを出す余裕がない。
「手をっ! ボクが引き上げるからっ!!」
「!!」
 そう言われてユカは上に手を伸ばす。助かりたいと願いながら必死で。
「もうちょっと……っ!!」
 ユウとユカの手の距離が、一メートル、五十センチ、十センチ……そして、
 ガシッ
 空中で手を握り合う二人。ユウに予想していた以上の負荷がかかったが、何とか耐えきりユカの救出に成功した。
「……ありがとうユウ。死ぬかと思いました……」
「助けられてよかった」
 空中に浮かびながらユウはほっと一息つく。
「あっ! ミカはっ!?」
 二人が上空を見上げると、エーデルワイスを手に持ったミカが飛翔しながら気まずい表情をしていた。
「ミカ姉……」
 ユウがミカに何かを言おうとすると、ユカがそれを制した。
「私は無事だったんですし、責めないでください」
「……でも!」
「大丈夫です。ミカは自分で気づくことができますから」
「……」
 ユカはミカに対して強い信頼を抱いているのか、強い瞳でミカを見上げてにっこりとほほ笑んだのだった。

 その後も、残りの二か所のエーデルワイスを無事に採取し、三人は三つ目のスタンプを押し、次のステージへと向かった。

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執筆:如月わだい
企画:スカイプ通話しながらオンラインゲームWiki
ラーミア, yayoi shirakawa ,柊正一
挿絵:柊正一
原作:ソードアート・オンライン

第七話「第四チェックポイント」の連載予定は四月十二日頃になります。お楽しみに!